今日は認知症について書きたいと思います。
認知症というのは『バカになってしまう』事ではありません。
これは現場に携わっている方には当然の事として認識されていますが、認知症の高齢者の方々と触れ合ったことのない方々には認知症の人がまるで異次元の世界の人のように思われることでしょう。
ところがそうではないんです。
簡単に言うと『今まで出来ていたことのうち、一部が出来なくなってしまった』ということで解釈していただければよいかと思われます。
なので、一見奇異に見える行動にもその人なりの理由があるんです。
例えば異食。
床に座り込み、さっきまで自分が履いていたスリッパを一生懸命かじっている人が居たとします。
エライ事ですよね

ばい菌だらけのスリッパを床に座ってかじってるなんて。
『ちょとちょっと!何でそんなもの食べてるんですか?ダメですよ』とかいって取り上げようものならたちまちその人は怒り出してしまいます。
当然です。
その人はさっきまで徘徊しまくってめちゃめちゃ疲れている上におなかがすいちゃっていたのですから。
施設の中を徘徊していたのも当然理由があります。
家に帰ろうとしていたから歩いていたんですよ。
当然歩き回ればおなかは空きます。
座るところもないし・・・・とりあえず、ここに腰をおろして・・・・・・・あ〜おなかが空いた・・・・ん??足元に転がっているのは(実はさっきまで履いていたスリッパ)芋じゃないか・・らっきー
こういう理由があったのです。
さて、ここで理解のない人はこの行為全てを奇異にとらえてしまいがちですが、よ〜く考えてみましょう
この人のエラーは『自分がが居る場所』『スリッパを食べ物と勘違いしたこと』くらいのものです。
あとはふつーでしょ?
だって、『帰りたい』と考えて歩いていた、帰り道を探していた、歩き続けて疲れた、だから座った
おなかが空いたから食べた。
ここまでは何も問題ないんですよ。
ふつーのひとだってそうするでしょ?
間違っていたのは座るべきでないところに座ったことと食べられないものを食べていたことですね。
全てを問題視して発生した現象のうちのどこに問題点があるのか?を理解しようとしなければ解決策は絶対に出てきません。
時々介護職でさえこのような現象をみて認知症の人を怒ったり小ばかにしたりする人も居ますが、そういう人たちに言ってあげたいですね。
『アナタもワタシの催眠にかかればスリッパ食べちゃいますよ?それをみんなに見られて怒られたいですか?バカにされたいですか?』
勿論そんな意地悪なことはしませんが

でも、認知症ってそういうことです。
変な催眠暗示が入っているのと似てるんですよ。
だから、逆にそのような異常行動があった場合はクライアントの言い分を良く聴いて(皆さんいいですか?聞くのではなく聴くのですよ)その人が納得いくようにアプローチすればよいのです。
催眠の介護における応用です。
さて、そんな認知症の方々ですがはっきりいって、えらそうなことばかり云ってる頭の固い人たちよりずっと頭が良いです。
あるとき、ホールにあった大きな車輪つきのホワイトボードが勝手に動き出しました。
それは本当に音も無く『すぅ〜』っと動き出したのです

心霊現象???
いえいえそうじゃありませんでした。
きつい円背(高齢になると背が曲がりきつい猫背になりやすいのです)のある背の低いおばあさんが歩くのに大変なのでそれをシルバーカー(高齢者用の手押し車)がわりにつかまって移動していたのです。
円背の上身長が低いので最初は勝手に動き出したように見えたんですね〜(笑)
こういう発想ガ出来る人は決して『頭悪い』人じゃないでしょ?

実はこの人が先に書いたスリッパを食べていた人です。
もう一つお話をします。
ある男性クライアント様は絵の先生でした。
やはり、認知症でご自分で出来ないことが増えてきました。
コミュニケーションは可能ですが、あまり他者とはお話をせず一人で画用紙や備品(笑)にご自分のサインを書いていました。
もう、絵を描くことは出来なくなっていたのです。
ある日、絵画を習いに行っている別の利用者様の奥様がご自分の作品を施設に持ってきてくださいました。
緑の映える山の中の一本道の風景画でとても美しい絵でした。
施設に飾らせていただくことにしたのですが、その絵を見て(勿論持ってきた人には会っていません)先の絵の先生が『う〜ん、素人にしては上手いね、きっとちゃんとした先生に習った人の絵だろうね、額縁は少し高級すぎて絵が負けちゃってるのが残念だなぁ・・・これを描いた人は女性だね』
さすが、お見事です全部当たってますよ先生。
posted by RED at 19:09| 静岡

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